人間未満の食欲望
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人間未満の食欲望 ~ ツバメ編 ~
もちろん子供によると思うが、生まれてしばらくの間、
子供というものはもしかしてまだ人間になりきっていないのかもしれない。
実は今でこそ随分洗練されて人間らしくなったが、
幼少期のツバメはまさに「おサル」のイメージだった。
以下は幼児期のツバメの「サル以上人間未満」の
特に食欲望に限ったエピソードの数々である。
保育所のおやつ
<1歳児クラスの時の先生談>
「ツバメくん、おやつが入っていた大きなボールを舐めてました。」
<2歳児クラスの時の先生談>
「今日のおやつスイカやってんけど、食べ終わったら皮を隣の子の皿に放り込んで
(空いた皿を差し出して)おかわり!って何回もゆうてたよ~」
かっぱえびせん
<父トラゾー談>
公園で女の子が鳩にかっぱえびせんを投げてやっていた。
ツバメが鳩を蹴散らしてそれを取りに行ったので一喝した。
柿食い競争
<実家に同居している妹談>
ばあちゃんが子供たち(年の順にリクト(妹の長男)、カイ(妹の二男)、
シュウ、ツバメ)のために柿をむいて大皿に入れて持ってきてくれた。
いくらツバメの食欲望がすさまじいといっても、
敵はみな年上なので食べるスピードではかなわない。
パクパク食べる兄ちゃんらに負けじと、遂に入らん限りの柿を口の中に次々入れ始め、
とうとうむせてゲロゲロと皿の上に吐き出した。
さすがの兄たちもゲンナリして食べるのをやめたその柿の皿を
すみっこに持って行ってすべてたいらげた。
あんたの勝ち・・・!(;^_^A
ゆすら梅
お隣のお宅の前に植えられたゆすら梅の木。
かわいい実が沢山生ると子供たちがその実を取って食べるのだが、
お隣さんは快く許してくれている。
近所のヒロくんが実を取って食べているのを見て、
シュウが自分もほしいとだっこをせがむ。
だっこしてもらって届くようになった実を取って満足そうに食べるシュウ。
ふと足元を見ると、ツバメがしゃがみこんで地面に落ちた実を黙々と食っていた。
・・・確かにその方が早いわ (^_^;)
ひと様の食物
何が恥ずかしいと言って、ひと様の食物にまで食らいつこうとする
我が子を目の当たりにする時ほど恥ずかしいことはない。
まるでしつけをしてないみたいではないか・・・
買い物から帰ってきた近所の人のレジ袋を
「何買って来たん!?」とこじあけるツバメ。
近所の○○ちゃんのお宅の冷蔵庫を勝手に開けて
おやつをねだるツバメ。
その場にいれば一喝もしようが、母のいないところでやらかしている
悪行三昧は数知れず・・・
考えるだけでおそろしい (- -;)
「ジョア」OR「ヤクルト」
ジョアとヤクルトが1本ずつあってシュウとツバメで一本ずつ分ける。
ツバメにどちらがいいか聞いたらジョアを選んだ。
ところがジョアを飲み終わったとたん、ひっくり返って駄々をこね始めた!
「ヤクルトがよかった~ぁ!!」
ツバメの頭の中にルールという概念はない。
リンゴ事件
朝食の時のフルーツ、これは最後に食べるというルールがある。
シュウは男の子である。そしてお兄ちゃんである。
何故だかうちの長男坊にはちっちゃい時からやたらとその自負がある。
ルールを守り秩序を保とうとするシュウ。
片や欲求が何よりも優先される掟破りのツバメ。
戦いのゴングは鳴った。
リンゴにスタートダッシュのツバメ。
ルールを振りかざすシュウ。
おかまいなしのツバメ。
ついに切れたシュウが手に握ったフォークを振り回し始めた。
レフェリーの母、割って入る。
危うく流血事件に発展するところだった。
以来、わが家でフルーツを食べるときにはフォークはつかない。
基本、手づかみである。
そして「まず分ける」が新たなルールになった。
ジュースなどは同じグラスを並べて注ぎ、
量が同じかリクが厳密にチェックする。
「最初に分ける!」
・・・確かにこれが流血事件を回避する最も的確にして唯一の方策に違いない。
スライム
小学校で開催された地域のこどもまつり、保育所保護者会として参加していた母は
バザーのテントで炊き込みご飯を売っていた。
会場には遊びのコーナーが沢山あって、
子供たちは色々な遊びを楽しむことができた。
「おいしそ~♪」と言ってスライムのコーナーに並んでいるツバメを見て、
「あれは食べるもんじゃなくて遊ぶもんやから食べたらあかんで!」
と口酸っぱく注意して持ち場に戻った。
しばらくして知り合いの母がやってきて私に言った。
「さっき、ツバメくんがスライム食べてたから食べたらあかんってゆうといたでー」
「え~っ!やっぱり食べとった?あんだけゆうといたのにー!」
どうしても一回食べてみないと気が済まなかったらしい。(- -;)
ところで食べるものでないということは学習できたのだろうか・・・
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